てんかん

掲載日 : 2025/03/19

※てんかんそのものは精神疾患ではありませんが、日本の制度上、精神保健福祉分野の対応疾患となっています。

てんかんとは

 私たちの体をつくっている細胞にはすべて電気的流れがありますが、大脳の神経細胞(ニューロン)も、規則正しいリズムでお互いの調和を保ちながら電気的に活動しています。てんかん発作はこの穏やかなリズムを持った活動が突然壊れて、激しい電気的な乱れ(ニューロンの過剰な放電)が生じることによっておきます。このため、てんかん発作はよく『脳の電気的嵐』にたとえられます。この電気的嵐は、脳波検査によっててんかん性異常波としてとらえることができます。
てんかんのある人は、100人に1人の割合でいると言われていますので、日本全国にはおおよそ100万人が推定されています。さらに一生の間に1回あるいは数回だけしか発作を起こさないようなてんかん周辺群も含めますと、その数はおおよそ人口の5%にもなると言われています。

てんかんの原因


てんかんの原因は様々です。原因が分からないてんかんもありますが、次のとおり大きく二つに分けられます。

・症候性てんかん


 脳に何らかの障害や傷があることによって起こるてんかん
 低酸素脳症、脳炎、脳出血、脳梗塞、脳外傷


・特発性てんかん


 様々な検査をしても異常が見つからない原因不明のてんかん

発症年齢


 乳幼児期から高齢期まで、全ての年代で発病します。3歳以下の発病が最も多く、80%は18歳以前に発病すると言われています。

てんかんの症状


 てんかん発作の症状は、脳のどの範囲で異常な電気発射が起こるかにより多彩です。

 例えば、脳の一部で起こった場合(焦点発作/部分発作)では、光がチカチカ見える、手がピクピク動くなど、胃のあたりから胸やけのような感覚がこみ上がってくるなどの患者さん自身が感じられる様々な症状を示すことがあります。脳全体が一気に興奮する発作(全般発作)では、前兆症状なく、突然に体の一部あるいは全体が一瞬ピクンと動くミオクロニー発作や、突然の強直間代発作や、突然力が抜けバタンと倒れる脱力発作、ボーっとする欠神発作などの症状が起きます。

てんかんの治療と支援


 てんかんは、一旦診断されるとその後長期間服薬を必要とすることが多いため、初期診断で、本当にてんかんなのかどうか、他に治療が必要な原因はないのかを見極めたうえで、長期的な治療の見通しを立てることが大切です。
てんかんの診断は、発作が起きた状況、発作が起こる前の症状(頭痛、イライラなど)、時間経過、誘発因子(発作を起こしやすくする要因)、発作中の行動などを確認します。そして、てんかん発作であることが明らかになったら、発作型診断、原因の究明、病型診断を行います。
てんかん発作で意識が消失したり、身体のコントロールがつかなくなることは、患者さんにとって社会生活上最も大きな障害となる症状で、事故にあう危険はもちろん、就労や就学、あるいは自動車運転などに際し大きなハンディキャップとなります。
てんかんの治療は、主に抗てんかん薬の内服治療になります。中には外科治療で完治を期待できる場合もあり、早期に適切な診断を行うことも大切です。

周囲が、てんかんを正しく理解することが重要です。
てんかんをもつ人にとって、発作が起こっている時間は通常数秒から数分間に過ぎないため、発作が起こっていないその他のほとんどの時間は普通の社会生活を送ることが可能です。従って、病気の特性を周囲の人がよく理解し、能力を発揮する機会を摘み取ることのないよう配慮することが、てんかんを持つ人に対する支援を行う上で大切なポイントです。

関連リンク
日本てんかん協会
 



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