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- 【取組紹介Vol.12】“誰か”の笑顔が、明日の原動力に。「ネッツトヨタ南国株式会社」の取り組み【後編】
今回は「ネッツトヨタ南国株式会社(高知市)」のインタビュー後編です。社員が自主的に取り組む「誰かのためにプロジェクト」は、交通安全運動や地域清掃などを通して地域がより良くなることはもちろん、社員同士のコミュニケーション促進・社内活性化にもつながっています。後編では、プロジェクトによって社内に表れた変化や今後の活動の展望について伺いました。
※前編はこちらからご覧いただけます。
近隣の久万川で地域清掃を行ったときの様子
(写真:ネッツトヨタ南国)
「高知型地域共生社会」では、介護や子育て・就労困難者のサポートなど、分野を超えた包括的な支援体制の整備を進めています。その実現に向けて取り組みを行う県内各地の実践事例をご紹介します。
「誰かのために」は社内にも!社員向け商店から生まれたコミュニケーション
社員向けの商店では、冷凍食品から休憩中につまめるお菓子まで幅広い品揃えがある
(写真:ことのは舎)
-社員自らが「誰かのために」と考えながらプロジェクト活動を行っている御社ですが、他にも独自の取り組みがあれば教えてください。
(村上さん)
プロジェクトメンバーになった際、「皆さんが誰かのためにやりたいと思っていることは何ですか」と問いかけがありました。そのとき頭をよぎったのが、昼食を食べずに働いている社員の姿です。
繁忙期には休憩する間もないほど忙しい人も多く、以前から何かできないかと考えていました。そこで、社員向けに軽食が調達できる小さなお店を開くことを思いつき、プロジェクトのミーティングで提案しました。するとメンバーの一人が「大賛成です!ぜひやりましょう」と声をあげ、数日後には行動を起こしてくれました。非常に心強く、背中を押してもらえた気持ちがしました。
実はこの商店は、あさくら太陽店(高知市朝倉)の取り組みから着想を得ています。そちらの店舗ではすでに社員の間で浸透しており、本店でも1ヶ月お試しでやってみたところ、非常に好評でした。
-誰かのためにの「誰か」には社員も含まれているのですね。商店の運営によって得られた気づきがあればお聞かせください。
(村上さん)
最初は仕事の合間につまめるおやつなどから始まり、今ではカップラーメンや冷凍食品も扱っています。プロジェクトメンバー同士で「次はどんな商品を入れようか」と考える時間も楽しいです。思ったように売れない場合も「どうすれば売れるんだろう」とアイデアを持ち寄って、置き場所を変えたり手書きのポップをつけたりして工夫しています。
品物を手に取って様々な社員が会話をする風景もよく見かけます。みんなのコミュニケーションの場になっていることがとても嬉しく感じますし、商店という一つのきっかけから社員同士の会話や接点が増えたり、プロジェクト活動自体も活性化するなど想像以上の効果がありました。
1日15分の行動から共感が芽生え、挑戦が広がっていく
月1回ランチミーティングを行い、活動アイデアを出し合う
(写真:ネッツトヨタ南国)
-「誰かのためにプロジェクト」を通して、社内の雰囲気や社員の皆さんにどのような変化がありましたか。
(野中さん)
自分から「ここが変わりました」と発言する人は少ないですが、プロジェクト活動によってメンバーの新たな面を知ることができたり、行動が変わった人もいます。例えばミーティングで「1日15分だけいつもと違うことをしてみよう」という話を聞いたメンバーが、その後自主的に昼休みの「15分間地域清掃」を始めました。また、毎週金曜日の朝にウォーキングをしながら地域のごみ拾いをしている社員もいて、どちらも長く継続しています。
(村上さん)
メンバーが情報交換をするLINEグループでは「〇〇さんが草むしりをしてくれました」というように、社員の良い行いを報告し合う投稿もよく見られます。それによって「これも良いことに含まれるんだ」と気づくきっかけになり、簡単なことからでも何か始めてみようと思う人が徐々に増えています。
誰かのために行動をすると聞くと非常にハードルが高く感じますが、どんな小さなことも認めて褒めてくれる仲間がいれば、何かをやってみる勇気が湧いてきます。それが全社的なプロジェクトを行う際にも役立ち、部署が違う社員同士も協力し合える雰囲気づくりや、みんなが一つの目標に向かうことにつながっていると思います。
「やってみよう」を応援する風土が、人と職場を動かす
-今後「誰かのためにプロジェクト」で挑戦したいことについてお聞かせください。
(森岡さん)
プロジェクトでは様々な活動をしていますが、中でも私が一番大切にしたいのは挨拶です。挨拶をされて嫌な気持ちになる人はいませんよね。会社敷地内にある保育園の子どもたちに挨拶をしたら笑顔を返してくれて、私たちも朝から元気をもらえます。これは実際に交通安全と挨拶運動をやってみなければわからなかった学びです。
当初は社員への啓発活動として始めた「誰かのためにプロジェクト」ですが、今はメンバーが気づいたことを自由に実践し、新たな楽しさを見出しています。まずは私たち自身が楽しむ姿を見せ、それに賛同するメンバーを少しずつ増やしていければいいなと考えています。
(野中さん)
今後は地域清掃や交通安全に加えて、子ども食堂のお手伝いなどの活動も増やしていきたいと考えています。また、地域貢献活動を行う団体に社員向け商店で出た利益を寄付する案も出ています。
当社のプロジェクト活動全般に共通することですが、強制されるのではなく自ら実行することを重視しています。社員一人から始まった「誰かのための活動」が、同じ部署で働く同僚に広がり、家族に広がり、さらに地域へと広がっていく。そんな輪がつながるのが私の理想です。
(村上さん)
活動を2年以上行って思うのは、「誰かのためにプロジェクト」が気軽に挑戦できる場所になりつつあるということです。もしこの場がなければ、何かを思いついても「やりたいけどどうしよう…」と悩んで終わっていたかもしれません。
一人では難しい、忙しいからできないと考えている人も「5分だけ、簡単なことからやってみて」とか「もしそれが楽しかったら、こんな活動を一緒にやろう」というように、みんなで小さな成功体験を積んだからこそ今があると思っています。
最初はとても小さなステップから始めたとしても、みんなの力があれば大きなことが成し遂げられる、というのが私の実感です。社内のプロジェクトですから、失敗しても構いません。気軽に楽しく始めて、そこからやりがいや自分の成長を実感できれば、日常の仕事や人間関係にもきっと良い影響があるはず。そうやって一人ひとり仲間を増やしていき、ネッツトヨタ南国らしい「自ら挑戦する風土」を社内に広く伝えていきたいと思います。
今回のお話で印象的だったのは、まず自分たちが楽しむことを大切にする姿勢です。
「ほんの少しでも一歩を踏み出せるよう、小さなアクションから始める」というやさしい雰囲気が、周囲の社員を自然と巻き込み、地域との関係性を生む行動にもつながっているのだと感じました。
一人の「やってみたい」が、みんなの「やってみよう」に変わっていく—そんな前向きな連鎖が、今後もさらに「誰かのためにプロジェクト」を発展させることでしょう。
貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。
記事執筆・写真:ことのは舎
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