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- 【取組紹介Vol.12】“誰か”の笑顔が、明日の原動力に。「ネッツトヨタ南国株式会社」の取り組み【前編】
今回は高知家地域共生社会推進宣言団体である「ネッツトヨタ南国株式会社(高知市)」にインタビューを行いました。ネッツトヨタ南国には、社員が自主的に行う組織横断型プロジェクトが30以上も存在しています。その中で、交通安全運動や地域清掃に取り組む「誰かのためにプロジェクト」の活動に焦点を当ててお話を伺いました。
※後編はこちらからご覧いただけます。
毎月20日に社屋前の道路で交通安全を呼びかけている
(写真:ネッツトヨタ南国)
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ネッツトヨタ南国株式会社
1980(昭和55)年、高知市で創業したトヨタ系列カーディーラー。全国のトヨタ販売会社を対象として行われるお客様満足度調査では、12年連続No.1を獲得しています。社内には社員の自主性を引き出す組織横断型プロジェクトが30以上あり、「誰かのためにプロジェクト」では月1回の交通安全運動や、会社周辺の地域清掃、社内の人間関係の質向上といった幅広い取り組みを行っています。
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「高知型地域共生社会」では、介護や子育て・就労困難者のサポートなど、分野を超えた包括的な支援体制の整備を進めています。その実現に向けて取り組みを行う県内各地の実践事例をご紹介します。
“やってみたい”を形に。社員の想いから生まれた「誰かのためにプロジェクト」
「誰かのためにプロジェクト」メンバー(左から)村上さん、森岡さん、野中さん
(写真:ことのは舎)
-御社が取り組んでいる「誰かのためにプロジェクト」とはどういった活動ですか。
(森岡さん)
「仕事の時間だけでは追求できない“一体感”を生みだす」をコンセプトに、社員それぞれが誰かのためにできることのアイデアを持ち寄り、それらをみんなで協力して形にするプロジェクトです。
具体的には、毎月20日の交通安全・挨拶運動、河川や公園などの清掃、ペットボトルキャップの回収・リサイクルといった幅広い活動を行っています。このプロジェクトを通して、社員が何かに挑戦したいと思ったときにそれを後押しできる風土づくりと、社員同士がより深く関わり合い、共に成長できる場を提供できればと考えています。
-「誰かのためにプロジェクト」立ち上げの経緯についてお聞かせください。
(村上さん)
当社では以前から、年間を通して社員向けやお客様向けのイベントを数多く行ってきました。しかしコロナ禍ではすべて中止せざるを得ず、感染予防のため社員同士も距離を取る必要がありました。交流する場が減ったことで、個人的には社内コミュニケーションの停滞感を強く感じた時期だったと思います。
「何でもやってみよう、失敗を恐れず挑戦しよう」という風土がネッツトヨタ南国の良さだと考えていた私にとって、これはとても寂しい出来事でした。そんなとき、私と同じように考えていた森岡さん・野中さんがプロジェクトの立ち上げを発表しました。
(森岡さん)
コロナ禍の停滞感に加えて、仕事の楽しさを感じる社員がもっと増えてほしいという想いもあり、プロジェクトのスタートに至りました。私は日頃から「仕事の楽しさは人から与えてもらうものではなく、自分で作りだすものだ」と考えています。毎日の仕事に追われていると、どうしても楽しさを見出すチャンスは減ってしまう。それなら、楽しさが見つかるきっかけを作ればいいのではと思いました。
2023(令和5)年1月の全社会議でプロジェクト立ち上げを発表し、現在では高知本店・あさくら太陽店(高知市朝倉)・のいち青空店(香南市野市町)の3店舗あわせて40名以上の社員がメンバーとして活動しています。
これだけ多くの人が集まったのは、みんなが心のどこかで「何とか現状を打破したいけど一人では難しい、きっかけが欲しい」と思っていたからではないかと想像しています。
-御社では以前からプロジェクト活動が盛んだったのでしょうか。
(野中さん)
当社では以前から、社員が組織横断型で所属する「委員会」がありました。委員会は学校の部活動のように、取り組むテーマに関心を持つメンバーが役職や入社年次を超えて集う場です。これが現在は形を変え、社員が自主的に行うプロジェクト活動となりました。
社員同士が一緒にランチを食べる機会を提供する「ランチどぅプロジェクト」や、地元農家さんの農産物をショールームで販売する活動、工業高校の授業を支援する活動など、社員それぞれの得意や興味を活かした内容で、今では30以上ものプロジェクトが発足しています。
一人が複数のプロジェクトに参加したり、プロジェクト同士がコラボしたりして、自由にアイデアを出し派生させていることも大きな特徴です。一人ひとりが主体性を発揮し、調和を生み出すこれらの活動は、ネッツトヨタ南国らしさを社内外に伝える重要な鍵となっています。
交通安全運動から始まり、今では様々な取り組みが行き交う「誰かのため」の活動
-「誰かのためにプロジェクト」の具体的な活動内容についてお聞かせください。
(野中さん)
毎月20日に交通安全の旗を持って社屋前の歩道に立ち、朝8時から20分ほど通行する人たちに挨拶をしています。この活動は朝倉と野市の店舗でも同時に実施します。また高知市が開催する七河川一斉清掃では、会社の近くを流れる久万川のごみ拾いをしました。
他にも近隣の公園の草刈りや、ペットボトルキャップ・使用済み切手の回収を社員に呼びかけるといったボランティア活動も積極的に行っています。
-活動内容はどのようにして決めていますか。
(森岡さん)
ミーティングでアイデアを出し合ったり、メンバーが所属するLINEグループで「今度こんなことをします。一緒にやりたい人はいませんか」と協力者を募ったりしています。
このプロジェクトは、もともと交通安全運動からスタートしました。会社の敷地内にある保育園に我が子を通わせる社員が、あるとき「この辺りの道はスピードを出す車が多くて危ない。交通安全の呼びかけをしたい」と言ったのがきっかけです。
そこから派生して、今ではメンバーそれぞれが自主的な活動を進めています。これをしなさいと強制するのではなく、一人ひとりが誰かのためになると思ったことを自由にできる場となっています。
小さな行動が未来を変える。社内外に広がるプロジェクトの力
会社敷地内にある保育園前では、子どもたちの見守りと挨拶運動を行っている
(写真:ネッツトヨタ南国)
-交通安全や挨拶運動などに対する地域の人々の反応はいかがですか。
(村上さん)
交通安全の旗を持って立っていると、通勤や通学で歩道を通る方が挨拶してくれます。また清掃活動中に「ありがとうございます」と声をかけてくださった方もいて、とても嬉しい気持ちになります。
(野中さん)
交通安全運動をすることで、スピードを出す車への抑止力につながっているのではと思います。安全運転を心がける人が増えれば、結果的に事故防止につながりますし、活動している社員自身の運転に対する意識も変わるかもしれません。感謝の言葉を直接いただく機会が多くなくても、私たちがしたことで相手が笑顔になり、地域に安全・安心の連鎖が広がっていけば嬉しいですね。
-プロジェクト活動を推進する中で大事にしている柱は何でしょうか。
(森岡さん)
私が「誰かのためにプロジェクト」を通して社員に伝えたいのは、自ら考えて挑戦する楽しさです。仕事でもボランティアでも、自主的に何かをするのは楽しいのですが、それはやった人にしかわかりません。「楽しさは自分で見つけるもの」と繰り返し伝えながらも、最初の一歩を踏み出せない人には仲間が協力し、挑戦をやさしく後押しできればと考えています。
それによって、社内にも地域にも新たなコミュニケーションが生まれます。互いを思いやるあたたかな関わり合いが増えれば、きっと「誰かのためを思った次の行動」が自然と生まれてくるのではないでしょうか。
前編では、ネッツトヨタ南国の社員が取り組む「誰かのためにプロジェクト」の活動内容や、その発足に込められた想いについて伺いました。
交通安全運動から始まった取り組みが、今では地域清掃をはじめとするボランティア活動にまで広がっているのは、プロジェクトを通して社員が楽しみながら挑戦できる場所を徹底して作り続けてきた成果だと感じます。
後編では、プロジェクトによって社内に表れた変化や今後の活動の展望について詳しくお聞きします。
記事執筆・写真:ことのは舎
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