【取組紹介Vol.6】地域全体で手をつなぐ!子ども食堂が描くこれからの支援 「子ども0円きてみい家食堂」の取り組み <後編>

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掲載日 : 2024/12/20

今回は「子ども0円きてみい家食堂」のインタビュー後編です。きてみい家では、子ども食堂以外にも季節ごとのイベント開催を通じて、地域との温かいつながりを持っています。そんな活動の中でボランティアメンバーが感じるやりがいや、これからの活動の展望について代表の池上さんにお聞きしました。

 

前編はこちらからご覧いただけます。


子ども0円きてみい家食堂池上さん

子ども食堂の取り組みについて語る池上さん(写真:CRAFT5 Inc.)

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子ども0円きてみい家(や)食堂(高知医療生協香美支部 組合員サポートセンター)
平成27年から、高知医療生協香美支部 組合員サポートセンターを拠点として活動を開始。当初は医療生協の組合員や地域の高齢者が集まって食事をしたり、近況報告を行ったりする交流の場としてスタートしました。その後、子どもたちの貧困や十分に食事が取れていない状態を知ったことから、平成29年4月「子ども0円きてみい家食堂」をオープン。毎月第2・4土曜日に昼食の提供を行っています。
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「高知型地域共生社会」では、介護や子育て・就労困難者のサポートなど、分野を超えた包括的な支援体制の整備を進めています。その実現に向けて取り組みを行う県内各地の実践事例をご紹介します。

 

子どもから高齢者まで大集合!「きてみい家」がつくる交流の場


夏祭り

夏祭り2

100人ほど参加した夏祭り(写真:子ども0円きてみい家食堂)

 

-「子ども0円きてみい家食堂」では、季節ごとにイベントも開催しているそうですね。

昨年はクリスマス会や餅つきを開催し、今年8月には夏祭りを行いました。ヨーヨーつりや射的など夏祭りならではの遊びや焼きそば、かき氷などのお店を出しました。子どもは無料、大人はチケットを買ってもらう形です。予約なしで来ていただけるイベントにしたことで、大人・子どもあわせて100人ほどの参加があり大賑わいでした。
また、今年11月には昨年に続き「きてみい家まつり」を開催します。ちんどん屋や音楽の出し物、フリーマーケットや食べ物の屋台も開く予定でとても楽しみです。今後も芋ほりや餅つきなどの季節を感じられる催しを通して、子どもから高齢者までみんなで集まって交流できる場を作りたいと思っています。

 

-普段は子ども食堂に来ていない方も、イベントを通して知ってもらう機会になりますね。他にも何か取り組みがあれば教えてください。

過去には夏休みの子どもたちを対象にして、きてみい家の前にある香美郡教育会館で学習支援をしていたこともあります。高知県立大学のサークル「こどもみらい塾」と退職教員の協力を得て、子どもたちの学習教室を開いていました。
学習が終われば将棋やトランプで遊び、そのまま子ども食堂でお昼を食べて帰る子もいて、長い夏休みの楽しみとして参加する子も多かったように思います。今ではコロナ禍や参加する子どもの減少で開催が止まってしまいましたが、子ども向けの取り組みは今後も工夫しながら広げていくつもりです。

 

地域の輪で広がるサポート。子ども食堂を支える人たち


子ども0円きてみい家食堂スタッフの皆さん

子ども食堂の運営を行うボランティアの皆さん(写真:CRAFT5 Inc.)

 

-子ども食堂の運営を行うボランティアの皆さんは何名いらっしゃいますか。またどうやって集めたのでしょうか。

最初は5人ほどで始め、ボランティアのつながりで徐々にその輪が広がっています。私は平成27年に高知県立山田特別支援学校を退職したのですが、その元同僚や友だちなど、人づてに活動を聞いて来てくださった方もいて、今ではボランティア全体で15人ほどになりました。子ども食堂の開催日によって参加人数の増減はありますが、平均して13人が手伝いに来てくれます。中には高知県立大学や高知工科大学の学生もいます。

 

-どのようなつながりで学生のボランティアが参加するに至ったのですか。

ボランティアのメンバーは退職教員が多く、元教え子などのつながりで「子ども食堂を手伝いに来てみない?」と誘ったこともありますが、自分から連絡してくれる学生が多いです。今は高知県立大から2人と、高知工科大学から1人、ボランティアのメンバーになってくれています。高校生の頃からずっと来ている子もいて、大学生になっても手伝ってくれるのでみんな喜んでいます。

 

-運営ボランティアの皆さんにとって、「子ども0円きてみい家食堂」の活動のやりがいとは何でしょうか。

やはり参加者の「おいしかった」の声や「また来るね」という笑顔が大きなやりがいです。地域の世代を超えたコミュニケーションの場として、きてみい家が少しでも役に立っていればいいなという思い考えが次のイベント企画などの意欲につながっています。
ボランティアの平均年齢はおよそ70歳と高齢ではありますが、皆さん元気で毎回わいわいとおしゃべりしながら活動しています。女性同士は話すことがパワーにつながる方が多いので、ここでのおしゃべりや活動は楽しみや日常の刺激になっているようです。これからも無理なく楽しく続けていけたらいいなと思います。

 

子ども食堂と地域のネットワークで、さらに温かな町づくりを目指す


学生ボランティア

子ども食堂に来たご家族の皆さんと学生ボランティア(写真:CRAFT5 Inc.)

 

-「子ども0円きてみい家食堂」の今後の目標や展望についてお聞かせください。

子どもの貧困は目に見えない場所にある場合も多く、なかなか隅々まで行き届かないのが現状です。もしかすると、きてみい家に電話をかけられない人の中にも困っている子どもたちがいるかもしれません。
以前、県の子ども家庭課や社会福祉協議会の要請を受け、香美市のスクールソーシャルワーカーや社会福祉協議会、子ども食堂の運営者が集まってネットワーク会議を実施したことがありました。そこでの情報交換は非常に意味のあるものだったので、様々な機関や行政と連携することができれば、困っている子にも手が届くのではと思います。
今は忙しい保護者が多く、また子どもたちも外で見かけないなど昔に比べると様子が変わりました。そんな人たちにきてみい家の存在を知ってもらうには、SNSなどもうまく使って情報を発信していく必要があります。より多くの人たちに私たちの子ども食堂を気軽に利用してもらうために、今後も人と人とのつながりや地元ならではのネットワークを活かしながら活動の幅を広げていくつもりです。

 

-最初は高齢者向けのランチ会からスタートし、徐々に子ども向けの活動にも力を入れてきた「子ども0円きてみい家食堂」。世代を超えたコミュニケーションを生む場所として、地域になくてはならない存在だと感じました。池上さん、心温まるお話をありがとうございました。

記事執筆:ことのは舎
編集:株式会社CRAFT5



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