【取組紹介Vol.25】選ぶ楽しさを届け、暮らしを見守るスーパー 株式会社末広の取り組み【後編】

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掲載日 : 2026/10/21

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今日も、待っているお客様のもとへ。地域を巡る移動スーパー「とくし丸」

 

今回は、高知家地域共生社会推進宣言団体である「株式会社末広(土佐町)」のインタビュー後編です。

後編では、代表取締役社長の谷脇敦さんに、移動スーパー「とくし丸」の仕組みを取り入れた経緯や、買い物支援と見守りにおける役割、今後の展望について伺いました。また、実際に「とくし丸」に同行し、地域の皆さんが買い物をする様子も取材しました。

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株式会社末広
高知県土佐郡土佐町に本社を置く、1958(昭和33)年創業の地域密着型スーパーマーケット。「末広ショッピングセンター本店」を中心に、土佐町と大豊町で計3店舗を展開しています。通信販売も手がけ、近年は食品メーカーとして自社商品の販路拡大にも注力。「地域になくてはならない会社を創る」という経営理念のもと、地域の食と暮らしを支えています。

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「高知家地域共生社会」では、介護や子育て・就労困難者のサポートなど、分野を超えた包括的な支援体制の整備を進めています。その実現に向けて取り組みを行う県内各地の実践事例をご紹介します。

 

自分の目で見て、手に取って選べる買い物を


前編2

出発を前に、食品や日用品が次々と積み込まれる移動スーパー「とくし丸」
 

 

-移動スーパー「とくし丸」の仕組みを取り入れた経緯を教えてください。

以前は、カタログを配り、電話で注文を受けた商品を届ける宅配サービスを行っていました。しかし、利用されるのは、買い物に行くことが難しい方というより、忙しくて営業時間内に来店できない方が中心。私たちが想定していた買い物支援とは少し違いがありました。
そんな時に知ったのが、「とくし丸」です。お客様が実際に商品を手に取り、自分で選んで買い物ができる。そこに一番の魅力を感じ、この仕組みを取り入れることにしました。

 

-販売を担当する方は、どのような形で連携しているのでしょうか。

販売パートナーは、当社と契約している個人事業主です。末広が商品を提供し、売れなかった分は店へ戻せるため、お客様の希望に応じた幅広い品ぞろえで地域を回ることができます。

 

買い物を支えながら、日々の変化を見守る

-同じ販売パートナーが定期的に訪ねることで、見守りにもつながっているそうですね。

販売パートナーは普段の様子を知っているので、「前回も納豆を買ったのに、また買うのは少しおかしいな」「こんなに一度に食べられるかな」と気づくことがあります。買い過ぎていないかを見たり、残った食材の保存方法をアドバイスしたりすることもありますね。
末広は2015(平成27)年、土佐町、本山町、大豊町、大川村と「地域の見守り活動に関する協定」を結んでいます。訪問しても応答がない、いつもより体調が悪そうだといった異変を感じた場合は、民生委員や社会福祉協議会などへ連絡する体制を整えており、実際に連絡したこともあります。

 

「嶺北に末広があってよかった」と思ってもらえるように

-今後、地域でどのような役割を担っていきたいと考えていますか。

当社が長く力を入れてきたものの一つが、惣菜です。少し甘めでゆずを利かせた寿司など、嶺北の皆さんが慣れ親しんできた味を大切にしています。「末広の味で育った」と言ってくださる方もいて、地域の食を担ってきたのだと感じますね。
これからは通信販売や食品メーカーとしての事業にも力を入れ、末広の商品、嶺北の味を地域の外へさらに広く届けたいと考えています。
また、嶺北には魅力ある食品をつくっている方がたくさんいますが、それぞれが販路を開拓するのは簡単ではありません。私たちが商社のような役割を担い、地域でつくられたものをまとめて外へ届けるお手伝いもできればと思っています。
嶺北で親しまれてきた味や、地域でつくられるおいしいものを、より多くの方に知っていただく。それも、地域とともに歩んできた末広にできる役割だと思います。

 

一人ひとりの顔を思い浮かべ、商品を選ぶ

取材当日は、販売パートナーの川村さんが商品を選ぶところから、地域の訪問先を回るまで同行しました。

朝、川村さんは末広の店内を巡り、商品を次々とかごへ入れていきます。車に載せるのは、あらかじめ決められた商品だけではありません。お客様から事前にリクエストされた品をそろえ、さらに「あの方が喜びそう」「いつも同じものばかりにならないように」と、一人ひとりの顔を思い浮かべながら商品を選んでいるそうです。
生鮮食品や惣菜、お菓子、日用品など、車内に並ぶのは暮らしに必要な幅広い商品。“かゆい所に手が届く”ラインアップです。取材日はちょうどお盆の時期だったため、お供えに向きそうな果物やお菓子も積み込まれていました。
準備を終えた「とくし丸」は、待っているお客様のもとへ出発します。

 

家の前で楽しむ、買い物と会話の時間

最初に訪ねたのは、一人暮らしの男性です。川村さんと言葉を交わしながら、車に並んだ品を一つずつ丁寧に選んでいました。次回持ってきてほしい商品の希望を伝える場面もあり、普段から顔を合わせている二人の和やかなやり取りが印象的でした。


ファイティングドッグス2

商品を手に取り、会話を交わしながら「とくし丸」での買い物を楽しむ近所の皆さん

 

続いて向かったのは、90代の女性の自宅前。「とくし丸」が到着する前から、近所の女性たちが集まっていました。いつも利用している方に、この日初めて買い物をする方も加わり、商品を手に取りながら、にぎやかに言葉を交わします。真夏ということもあり、アイスクリームも喜ばれていました。
「歩いて数歩でスーパーよ」
自宅の目の前に止まった「とくし丸」を指し、元気に笑う女性。普段の買い物は、ほとんど「とくし丸」で済ませているそうです。
皆さんに話を聞くと、運転免許の返納を機に利用し始めた方もいれば、近くの店と使い分けている方も。それぞれの暮らしに合った形で、「とくし丸」を日々の買い物に役立てています。


今回の取材で特に印象に残ったのは、出会った皆さんの笑顔です。
本店のイートインコーナーでは、コーヒーを片手に冗談を言い合う姿がありました。「とくし丸」の訪問先では、車に並んだ商品を手に取り、会話を楽しみながら買い物をする人たちがいます。場所や形は異なっても、そこには買い物をきっかけに人が顔を合わせ、ともに時間を過ごす日常がありました。
店を訪れる人にも、足を運ぶことが難しい人にも、それぞれに合った形で地域の食と買い物の機会を届ける末広。そこで交わされる何げない言葉や笑顔もまた、人と地域のつながりを支えています。「地域になくてはならない会社を創る」という理念は、こうした日々の商いの中で形になっているのだと感じました。

末広の皆さま、ありがとうございました。
 

 

 

記事執筆:是永 裕子

 

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