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- 【取組紹介Vol.23】「まずは、やってみる」から広がる“つながり”。清水サーバの取り組み
今回は、高知家地域共生社会推進宣言団体である「一般社団法人 清水サーバ」にインタビューを行いました。
土佐清水市を拠点に、地域づくりの総合拠点となる「滞在暮らしセンター」の運営や地域活動団体への支援、地域交流事業などに取り組む同団体。代表理事の鈴木誠さんに、設立の経緯や活動に込める思いを伺いました。
また、足摺半島 滞在暮らしセンターで行われた「防災・減災!井戸を復活させようワークショップ」の様子もお届けします。
多様な人が気軽に集い、交流を育む、清水サーバの「足摺半島 滞在暮らしセンター」
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一般社団法人 清水サーバ
高知県土佐清水市を拠点に、「これからの日本の地域の創造的な発展」を考え、行動する非営利活動団体。「地域活動団体等への支援」「滞在暮らしセンターの企画・運営」「公益事業の企画・実施」「地域の自然保護」「藝術と歴史文化の再評価」を活動の柱とし、足摺半島や大津集落など、各地に設けた拠点を中心に活動しています。
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「高知家地域共生社会」では、介護や子育て・就労困難者のサポートなど、分野を超えた包括的な支援体制の整備を進めています。その実現に向けて取り組みを行う県内各地の実践事例をご紹介します。
地域づくりの現場にひかれ、奈良から足摺半島へ
一般社団法人 清水サーバ 代表理事 鈴木 誠さん
-現在、土佐清水市で活動されていますが、どのような経緯で地域づくりに取り組むようになったのでしょうか。
実は、土佐清水市へ来る前は、奈良県庁で約30年間働いていました。出身は、長野県松本市。中学生の頃に奈良を訪れ、古い建物や仏像が残る静かな風景にひかれたんです。当時はお坊さんに憧れて、長期休暇のたびに奈良へ足を運んでいました。
そして、「奈良で暮らしたい」と考えて県庁を受験し、合格を機に移住。文化財に関わる仕事などを経験する中で、地域活動に取り組む方々とも出会いました。
現場へ行き、一緒に農作業をして、ご飯を囲む。そんな時間が本当に楽しくて、「こんなふうに暮らしていけたら」と思うようになったんです。
地域には、その土地で受け継がれてきた知恵や、一人ひとりが培ってきた経験があります。それらが重なり、新しい動きが生まれる。その面白さに、次第にひかれていきました。
-約30年勤めた県庁を離れ、地域づくりの現場へ飛び込まれたのですね。
47歳の時に奈良県庁を早期退職しました。地域で活動する方と行政の間に入り、何かを始めたい人を支える役割を、自分で担ってみたいと思ったんです。
都市部や中山間地域だけでなく、半島部のような場所でも地域づくりに向き合いたいと考えていた時に、土佐清水市の地域おこし協力隊の募集を知りました。その活動内容に興味を持ち、土佐清水に来た、という経緯です。
-地域おこし協力隊の任期を終えた後、清水サーバを設立されたのでしょうか。
地域おこし協力隊になる時から、3年間の任期を終えたら地域づくり団体を立ち上げると決めていました。その計画どおり、2020(令和2)年に清水サーバを設立しました。
地域で何かを始めたいという思いがあっても、どこへ相談し、どう形にすればよいのか分からないことがあります。そうした人と一緒に考え、活動へつなげる「受け皿」をつくりたいと思ったんです。
「やってみたい」を形にし、地域の人へつなぐ
-清水サーバでは、具体的にどのような支援を行っていますか。
国や公共団体などの補助金・助成金を活用して公益事業を立ち上げ、継続できる仕組みを整えたうえで、地域の方へ引き継ぐこともあります。
例えば大津集落では、空き家を活用して週1回の店を開きました。地域の方から「トイレットペーパーを置いてほしい」と聞けば、さっそく店頭へ。そして、いざ販売してみると、日用品一つを取っても、世代や暮らし方によって求めるものが違うことが見えてきました。地域の声を聞き、まず試してみる。その繰り返しの中で、この場所をもっと生かす方法を探ったんです。
そこで、直販所で手作りのパンを出していた女性に「ここでパン屋をやってみませんか」と声を掛けました。必要な設備や営業体制を整え、現在はその女性が週に1度、パン屋を営んでいます。
-その方にとっても、新しい挑戦になったのですね。
パン屋を始めた頃、その方は70歳くらいでした。最初は「もう年だからできない」と話していましたが、始めてみると、パン作りだけでなく経営自体も楽しまれているようです。
地域の方だけでなく、高知市や県外から訪れるお客さんもいます。その人が持つ経験が新しい役割や出会いにつながる。これは、私たちが目指す地域づくりの一つの形です。
“普通の家”だからこそ生まれる、自由な交流
-各地に設けている「滞在暮らしセンター」は、どのような場所ですか。
名前だけを聞くと大きな施設を想像するかもしれませんが、基本的には普通の家です。一人でも無理なく運営でき、ほかの人も取り入れやすい「家のサイズ」を大切にしています。
現在は、足摺半島や大津集落のほか、徳島県板野町、奈良県にも拠点があります。それぞれの地域や、そこに関わる人に合わせて活動しているため、どこも同じではありません。一軒一軒が、自分たちの色を持っています。
-「足摺半島 滞在暮らしセンター」では、月1回の「津呂ちいき食堂」も開かれているそうですね。
毎回数十人の方が訪れますが、全員が同じ時間に集まるわけではありません。来たい時に来て、ご飯を食べた後は思い思いに過ごします。
私たちも、お客様を迎えるというより、遊びに来てもらうような感覚です。訪れた方が好きなことを自然に持ち寄るので、私たちが想定していなかった楽しみも生まれます。
地域の方だけでなく、移住してきた方や外国出身の方、お遍路さんが立ち寄ることもあります。立場や世代の異なる人たちが、同じ食卓を囲みながら、無理なく交われる場所になっていますね。
「どんどん真似してほしい」小さな実践を次へ
-今後、足摺半島 滞在暮らしセンターを、どのような場所にしていきたいですか。
ここで誰かと出会い、興味を持ったことが、その人の新しい活動につながればうれしいですね。
実際に、津呂ちいき食堂を見た方が、別の場所で地域食堂を始めたことがあります。やり方も聞きに来てくれました。私たちとしては、活動をどんどん真似してもらいたいんです。
大きな施設や特別な設備がなくても、「家のサイズ」なら、自分に合った方法で始められます。まずは私たちが楽しみながら形にして、それを見た人が「自分もやってみよう」と思う。そんなふうに、地域で動く人や場所が少しずつ増えていけばいいなと思っています。
井戸を囲んで笑顔がつながる、にぎやかな一日
手押しポンプからくみ上げられた、澄んだ井戸水。
真夏とは思えないほどの冷たさに、驚きの声が上がった。
-取材当日、足摺半島 滞在暮らしセンターで行われた「防災・減災!井戸を復活させようワークショップ」の様子も取材しました。
この取り組みは、センターの敷地内にある、今は使われていない古井戸に手押しポンプを取り付け、再び使えるようにするもの。今後は水質検査を行い、安全性を確認したうえで、地域交流や災害時に活用するそうです。
参加したのは、地元の方をはじめ、移住してきた方や、地域でALTとして働くアメリカ出身の方など、現在、土佐清水で暮らす皆さん。井戸の深さを測った後、長いパイプをつなぎ、声を掛け合いながら手押しポンプを取り付けていきました。
日本語と英語が行き交う中、パイプを支える人、部品を手渡す人と、自然に役割が分かれていきます。取り付けを終えてポンプを動かすと、古井戸から冷たい水がくみ上げられ、歓声と笑顔が広がりました。
その後、屋外では炊き出しも行われ、鍋で炊いたご飯などを囲みながら、さらに会話が弾みます。取材で訪れた私たちも、いつの間にか会話の輪の中へ。鈴木さんが話していた「遊びに来るような感覚で過ごしてほしい」という思いが伝わる、和やかなひとときでした。
今回の取材で特に印象に残ったのは、それぞれが無理のない、自分なりの形で地域に関わっていたことです。決められた役割をこなすのではなく、できる人が、できることを担う。立場や背景を問わず、誰もが気軽に加われる、自由で開かれた雰囲気がありました。
ALTの方々が「これからも土佐清水に住み続けたい」と話していたことも、心に残っています。
自分らしく地域に関われる場所があること。それは、「新しいことをやってみたい」「地域のために何かできるかもしれない」という思いが芽生えるきっかけにもなるのではないでしょうか。
一般社団法人 清水サーバの皆さま、ありがとうございました。
記事執筆:是永 裕子
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