【取組紹介Vol.19】続けることで、つながりが生まれる 集落活動センターなかやまの取り組み【前編】

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掲載日 : 2026/02/10

今回は安芸郡安田町中山地区にある「集落活動センターなかやま(中山を元気にする会)」にインタビューを行いました。廃校となった小中学校を改修した施設を拠点に、地域の交流事業や見守り活動を続けている同団体。前編では、30年続く「なかやま山芋フェスタ」の話題から、施設の成り立ち、そしてこの地域の魅力について、「中山を元気にする会」会長の野町さん、安田町ふるさと応援隊(集落支援員)の佐竹さんにお話を伺いました。

 


前編サムネイル

「中山を元気にする会」会長の野町さん(右)と安田町ふるさと応援隊(集落支援員)の佐竹さん(左)

 

 

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集落活動センターなかやま(中山を元気にする会)

高知県安田町中山地区にある「集落活動センターなかやま」は、2013(平成25)年に開設されました。運営母体である「中山を元気にする会」は約20年前に発足。廃校となった中山小中学校の一部を改修し、中山地区の拠点として活動を始めました。その後、残りの部分を改修し、「安田町多目的交流センターなかやま」としてリニューアルオープン。

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「高知家地域共生社会」では、介護や子育て・就労困難者のサポートなど、分野を超えた包括的な支援体制の整備を進めています。その実現に向けて取り組みを行う県内各地の実践事例をご紹介します。

 

囲炉裏から始まって30年。今では1,100人が集まるイベントに


前編2

2025(令和7)年12月14日(日)に開催された「なかやま山芋フェスタ」の模様

 

-昨日(12月14日)に開催された恒例のイベント「なかやま山芋フェスタ」は、大盛況だったそうですね。

佐竹さん:今年は1,100人弱のお客様がいらっしゃいました。去年が約1,000人だったので、少し増えましたね。

2階には巨大プラレールで遊べるキッズスペースもあるのですが、そこも大混雑で175人が利用しました。ちなみに、普段の1日の平均来場者数は0.7人くらいなんですよ。

 

-それはすごいですね!「なかやま山芋フェスタ」では、どんなものが売られているんですか。

佐竹さん:中山地区の特産品である山芋(自然薯)そのものはもちろん、田舎寿司、鮎の塩焼き、山芋コロッケ、山芋汁など、いろいろありますね。9時にスタートして、11時過ぎには大体のものが売り切れてしまいました。

野町さん:「中山を元気にする会」のブースの山芋も早々に完売しました。温暖化で山芋の旬は遅くなっているんですが、今がちょうど完熟の時期。完熟するとアクが出ないので、一番おいしいんです。

 

-約30年続いているイベントだと伺いました。

野町さん:そうですね。地元の老人クラブが「山芋祭をやろう」と言い出したのが始まりです。囲炉裏をつくって、お客さんを招いて山芋料理やお寿司をふるまった。それが原点です。そこからずっと開催していますが、毎年多くの方にお越しいただく、人気イベントに成長しました。

 

廃校になった小中学校が、地域の新しい拠点に生まれ変わるまで


前編3

旧中山小中学校を活用した「集落活動センターなかやま」

 

-この施設は、もともと小中学校だったんですよね。

佐竹さん:はい。少子化で小中学校の統廃合がブームになった時期があって、その流れで中山小中学校が廃校になることが決まりました。

「廃校後の校舎をどう活用するか」という検討委員会が立ち上がり、校舎の風景を残しつつ何か新しいものをつくろうということになって。地元の方々と協議した結果、県が推し進めていた「集落活動センター」をやってみてはどうかという話になったんです。

その時に「中山を元気にする会」という団体がすでにあったので、その団体に運営を任せることになりました。

 

-今はいろいろな機能があるそうですね。

佐竹さん:最初は集落活動センターだけだったんですが、7年後には県の支援のもと事業を拡充し、1階に看護小規模多機能エリア、2階に高知大学地域協働学部のサテライト教室を整備しました。

学生が泊まれるように、男女各6人、計12人が泊まれるドミトリー(簡易宿泊施設)もあります。さらに2階には、安田町に拠点がある東京映画社さんが「映像村」というスタジオを作ってくれています。夏休みには子ども向けのワークショップもやっていて、映画監督の安藤桃子さんも来てくださいましたよ。

 

帰ってきた故郷で、地域の魅力を伝える存在になるまで

-佐竹さんが「中山を元気にする会」の活動に関わるようになったきっかけを教えてください。

佐竹さん:僕はもともと安田町の出身で、県外でIT系の仕事をしていました。農業をしようと思って地元に戻ってきたんです。

そして、父に誘われて山芋フェスタに行った時に、「こんな山奥にこれだけ人が来るのか、山芋って売れるんだな」と思いまして。それで山芋づくりを始めましたが、1年目で山芋の難しさがわかりましたね…。

野町さん:山芋は甘くないですよ。僕も作ったことがあるからわかります。山芋は地中で育つでしょう。地上に出ている葉っぱは立派でも、掘ってみたら全然できていなかったり、腐っていたりする。それで、僕はゆずに変えましたね。

佐竹さん:植え付けも本当に大変なんです。スコップで掘りながらトタンを畝に斜めに埋め続けるという、途方もない作業です。そして、苦労して育てても、収穫の時に腐っていることもある。

安田町に帰ってきて山芋づくりを始めた頃にコロナ禍になり、ほぼ3年間活動自体ができなかったんです。その間にこの地域への愛着が湧いて、地域の活動を始めたら離れられなくなった、それだけの話ですよ。

 

-野町会長は山芋からゆず栽培に変えられたとのことですが、この地域ではゆずも盛んなんですね。

野町さん:はい。高齢化で耕作放棄地がどんどん増えているんですが、ゆずはヨーロッパなど海外でも需要が増えていますからね。

佐竹さん:若い人は仕事がないから安田町に来づらい。でも、リタイア後に何かしながら暮らしたいという方には、ゆずがおすすめです。そういう方を呼び込んで、ゆずを栽培しながら地元と交流してもらう。そんな取り組みも安田町では進めています。

 

清流・安田川のほとりで続く、変わらない季節の風景

-中山地区の魅力は、どんなところにありますか。

野町さん:魅力は安田川ですね。安田川にはダムがない。今の時代、ダムがないということは、すごいことなんです。昔より多少汚れたとはいえ、今でももちろんきれいです。昔は人もたくさん住んでいましたね。

佐竹さん:1960(昭和35)年時点で、中山地区の人口は約2,000人。そして、今年400人を切りました。今は安田町全体で約2,000人です。

「中山を元気にする会」の月1回の定例会も、僕が参加し始めた頃は30人くらい来ていたんですが、今は行政を入れて16人くらいになりました。運営も決して楽ではありません。

事務局として僕を含めて3人いますが、当然この3人だけでは大きなイベントはできない。地元のベテランの"エリート"たちが集まってくれるから回っているんです。

大変なこともありますけど、人が来てくれる場を絶やさないように、みんなでやっています。

 

人口が減少する中でも、30年間続いてきた「なかやま山芋フェスタ」。廃校は地域の拠点として生まれ変わり、年間約3,500人が訪れる場所になりました。

決して楽ではない運営を続けてこられた理由は何か。今回の取材では、その背景にある地域への深い愛着を感じました。

後編では、見守り活動や大学生との交流など、日々のつながりを育む取り組みとともに、佐竹さんが語る「現状維持」という言葉の意味をお伝えします。

 

記事執筆:是永 裕子

 

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