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- 【取組紹介Vol.7】 福祉専門職をもっと身近な存在にしたい!悩み解決の第一歩を支援|「高知市社会福祉法人連絡協議会」の取り組み<前編>
今回は高知市内全域で幅広く公益的な取り組みを実施する「高知市社会福祉法人連絡協議会」にインタビューを行いました。連絡協議会の事務局を務める、高知市社会福祉協議会 地域協働課の馬場さんに「出張ほおっちょけん相談窓口」の概要や相談者の声についてお話を伺いました。
出張ほおっちょけん相談窓口について語る高知市社会福祉協議会 地域協働課の馬場さん
(写真:CRAFT5 Inc.)
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高知市社会福祉法人連絡協議会
高知市内に事業所を置く18の社会福祉法人により、平成30年8月に設立された協議会です。令和6年1月現在、20法人が所属しています。高知市内の社会福祉法人が組織の枠を超えてつながり、それぞれの法人が強みを持つ分野等での専門性やこれまで培ってきた経験を最大限に発揮し、住民が安心して暮らせる地域の仕組みを市内にくまなく作っていくための取り組みを行っています。
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「高知型地域共生社会」では、介護や子育て・就労困難者のサポートなど、分野を超えた包括的な支援体制の整備を進めています。その実現に向けて取り組みを行う県内各地の実践事例をご紹介します。
高知市社会福祉法人連絡協議会が取り組む公益的な取り組みとは
出張相談会の様子(写真:高知市社会福祉法人連絡協議会)
-はじめに、高知市社会福祉法人連絡協議会の活動概要についてお聞かせください。
活動としては大きく分けて2つあります。1つ目は当協議会にある3つの部会(地域公益活動推進・相談窓口推進・災害対策連携)による活動です。この中に「出張ほおっちょけん相談窓口」の取り組みや、これから福祉の世界を目指す若者たちへの福祉教育、フードドライブ、災害時の法人間の相互支援などの活動が含まれます。
そして2つ目が「くらしあんしん応援事業」で、生活困窮者の自立支援を目的とした総合的な相談対応と、必要に応じて経済的支援も実施しています。
現在、当協議会の会員には高知市内の20法人が参加しています。会員である保育園や高齢・障害等の福祉事業所と連携しながら、分野や立場を越えて地域の複合的な福祉課題に対する取り組みを行っています。
-「出張ほおっちょけん相談窓口」について詳しく教えていただけますか。
年2回、イオンモール高知とマルナカ高知インター店の2店舗で、出張型の相談会を実施しています。当協議会の会員法人と、高知市の母子保健課、そしてそれぞれの地域にある地域包括支援センターの協力を得て、地域住民の皆さんの様々な相談に乗る場です。
この取り組みは令和4年からスタートし、令和6年からは相談場所を2か所増やして年4回開催しています。「出張ほおっちょけん相談窓口」は、当協議会の部会の一つである相談窓口推進部会が旗振り役となって運営しています。「相談したいことがあるが、どこに言えばいいかわからない」という悩みを持つ方はとても多いため、まずは気軽に相談できる出張相談会を開こうという発案から取り組みを開始しました。
福祉専門職への質問・相談から具体的な支援までワンストップで対応
お子さん連れの出張相談会の様子(写真:高知市社会福祉法人連絡協議会)
-「出張ほおっちょけん相談窓口」に寄せられる相談にはどのようなものがありますか。
お子さん連れから高齢者の方まで、様々な方が相談にいらっしゃいます。出張相談窓口を始めた当初は高齢者の福祉に関するご相談が多かったのですが、最近では障害に関する内容も増えてきました。
例えばお子さんの発達についてどこに相談すればいいかという疑問や、障害のある方を支えるご家族が高齢になり、将来の生活を支える福祉サービスを知りたいといった相談が寄せられるようになっています。
それぞれの開催場所ごとに10件ほどの相談をお受けしていますが、その場での解決が難しい場合は一度持ち帰って検討したり、必要に応じて行政の窓口や連携機関につないだりして、継続的な支援を行う場合もあります。
-出張窓口が各種支援の入口のような役割を果たしているんですね。実際に相談した方々からはどういった感想が寄せられていますか。
「市役所までは遠くて行けないから、来てくれてありがたい」という声や「時間がなくてなかなか相談の一歩が踏み出せなかったが、買い物のついでに相談できるのは助かる」という感想も聞かれます。一番多いのは「今日だけと言わずもっと来てほしい」という声で、身近で困りごとを抱えている人にも紹介したいと言ってくださる方もいます。保健師や社会福祉士などの有資格者がそれぞれのお悩みに応じてお話を聞きますので、安心して様々な相談ができるのが「出張ほおっちょけん相談窓口」の大きなメリットだと思います。
-「出張ほおっちょけん相談窓口」では、相談者が話しやすい雰囲気を作るために様々な工夫をしているそうですね。
「出張ほおっちょけん相談窓口」で最も大切にするのは、「誰に言えばいいかわからないけど、この機会に聞いてみようかな」と思える雰囲気づくりです。
ブースに座って話すと緊張する方もいると思うので、お子さん連れの方には保育士が絵本の読み聞かせを行い、その合間に保護者へ「お子さんのことで相談はないですか」と聞くなどの工夫を重ねています。
相談ブースでは最大限プライバシー確保に配慮していますが、商業施設で開催する関係上、どうしても完全な個室にするのは難しいです。じっくりと相談を希望する方には別日程を設定し、こちらから訪問したり当協議会に足を運んでもらったりしてお話を聞いています。
もっと身近に、もっと頼れる存在を目指す。高知市社会福祉法人連絡協議会の展望
-「出張ほおっちょけん相談窓口」を含め、高知市で暮らす皆さんへさらなる福祉支援をしていくため、今後はどのような取り組みに力を入れたいですか。
地域の皆さんの幅広い相談に応えられる体制を作るため、部会では定期的に講師を招いて勉強会や事例検討会を実施しています。最近ではヤングケアラーや障害者支援、母子支援制度などについて学びを深めました。これまで高齢者への支援を中心にしてきた部会員でも、高齢者が障害のある家族を抱える事例などにも目を向けられるようになったことから、引き続き部会員の研修による知識のアップデートは力を入れていくつもりです。
「出張ほおっちょけん相談窓口」は令和7年2月にも開催を予定しています。高知市にお住まいで、相談ごとがある方はぜひお気軽に足をお運びください。また、今後は地域のイベントなどで相談窓口を開催する企画も検討中です。これからも福祉の専門職を地域の皆さんに身近に感じていただける機会をますます広げていきたいと思います。
前編では、高知市社会福祉法人連絡協議会の活動概要と「出張ほおっちょけん相談窓口」について伺いました。どこに相談すればいいかわからない悩みを受け止め、各種支援の入口につなげる重要な取り組みは、地域にとってなくてはならないものだと感じました。後編では、高知市社会福祉法人連絡協議会が行うもう一つの取り組み「くらしあんしん応援事業」について詳しくお聞きします。
記事執筆:ことのは舎
編集:株式会社CRAFT5