【取組紹介Vol.3】 つながる地域、守る暮らし。こうち生協が目指す共生社会「こうち生活協同組合」の取り組み<前編>

  • HOME
  • 【取組紹介Vol.3】 つながる地域、守る暮らし。こうち生協が目指す共生社会「こうち生活協同組合」の取り組み<前編>
掲載日 : 2024/10/01

「高知型地域共生社会」では、介護や子育て・就労困難者のサポートなど、分野を超えた包括的な支援体制の整備を進めています。その実現に向けて取り組みを行う県内各地の実践事例をご紹介します。
今回は地域住民の暮らしと健康を守り、住みよい地域社会づくりを目指す高知家地域共生社会推進宣言企業の「こうち生活協同組合」にインタビューを行いました。地域に根ざした見守り活動の内容や支援機関等との連携について、担当の野村さん、山本さんにお話を伺いました。


こうち生活協同組合

地域に根ざした見守り活動について語る野村さん(左)・山本さん(写真:CRAFT5 Inc.)

===
こうち生活協同組合とは
昭和60年11月、2013人の組合員によって立ち上げられました。組合員が主役である生協は、一人ひとりの出資と利用、そして運営活動によって支えられています。現在、高知県全域で10万人を超える組合員の輪が広がりつつあります。食品から日用品まで、生活に必要なものを県内各所に配達しながら、組合員の見守り活動にも力を入れています。
===

 

商品とともに安心もお届け!こうち生協の見守り活動とは


高知家地域共生社会推進宣言

高知家地域共生社会推進宣言(令和6年10月7日)(写真:高知県)

 

-こうち生協では令和5年、「高知家地域共生社会推進宣言」を行ったそうですね。この宣言に至る背景についてお聞かせください。

野村:こうち生協では、平成30年から地元の子ども食堂への寄付活動を行っています。これは県産品を集めたカタログで組合員の皆さんが購入した金額の中から、1品につき1円を寄付して子ども食堂の活動を応援するという取り組みです。
そんな寄付活動のつながりで県の地域福祉政策課と会話をした際に「高知型地域共生社会」の取り組みを知りました。私たちの活動内容と合致する部分も多く、こうち生協内でも「今後ますます地域社会へ貢献する取り組みを加速させたい」という考えもあったことから、地域共生社会の推進企業として登録を行いました。

 

-この宣言に関連して、こうち生協としてはどのような活動を実践していますか。

山本:配送業務の中での地域見守り活動を主に行っています。私たちの主な事業である配達を通して、地域住民の異変などがないかしっかり目を向け、必要に応じて行政や民生委員といった窓口に引き継ぐ取り組みをしています。
こうち生協では、平成19年から県が推進する「高知県の地域の見守り活動に関する協定」の締結もいち早く行った実績があります。単なる食品や日用品の配達だけでなく、見守り活動によって皆さんが安心して暮らせる地域づくりに力を注いでいることを、ぜひ多くの方に知っていただきたいと考えています。

 

宅配でつなぐ、人と人との温かなコミュニケーション


組合員さんとのコミュニケーション

組合員さんとコミュニケーションを取る配達員さん(写真:CRAFT5 Inc.)

 

-配達の際、組合員の皆さんとはどのようなコミュニケーションを取っていますか。

野村:生協の配達は2つのパターンがあります。一つは個人宅配で、組合員さんのご自宅に直接お届けするもの。もう一つは3名以上のグループで利用できる共同購入です。どちらも週1回、決まった曜日にお届けに伺います。
宅配先では荷物を下ろす際にコミュニケーションを取っています。毎週お会いして会話をしていると、組合員さんの人となりやご家族の状況が会話の中から把握できることも多いです。その中で何か異変があった場合は、比較的早く気づいて適切に対処できる存在なのではないかと思います。

 

-一人暮らしの方は、時々訪ねてくれる人がいるだけで安心感につながりますね。

山本:ご高齢の組合員さんの場合は、「荷物を家の中まで入れてほしい」といったご要望にお応えすることもあります。その時々で配達員が組合員さんの変化に目を配り、対応できることであればご相談に乗るようにしています。

 

-共同購入の場合はどのようなつながりが生まれていますか。

野村:グループで共同購入する方も、ほぼ毎週同じ方と顔を合わせてお話しすることが多いです。若い組合員さんは個人宅配の割合が高く、ご年配の方は共同購入の利用率が高い傾向があります。同じグループの方との会話を楽しみにしている方もいて、ご近所の安否確認や近況報告において生協の宅配がお役に立てているようです。

 

生協がつなぐ地域の絆。週に一度の会話が元気の源に


こうち生活協同組合

組合員さんとのコミュニケーションについて語る野村さん(写真:CRAFT5 Inc.)

 

-こうち生協の共同購入や組合員の皆さんとの関わりは、地域の活性化にもつながる大切な接点だと感じます。

野村:以前、私たちの広報誌で13人の組合員さんが集まって共同購入しているグループを取り上げました。ご近所同士の高齢の方が主なメンバーで、まだ入っていない人には「誰かと話をしないとボケてしまうから、一緒にやろう」と声をかけているそうです。
週1回でも人と会って話をすれば、気分がすごく活性化する効果があると思います。地域コミュニティが希薄化し、ご近所さんと知り合う機会もだんだん減ってきている世の中ですが、共同購入が地域の横のつながりを作るきっかけになっていることが非常に嬉しいです。


前編では「高知家地域共生社会推進宣言」を通じた配達時の見守り活動によって、組合員の皆さんや地域とのつながりを積極的に深めたいという、こうち生協の強い想いが伝わってきました。後編では、実際のお困りごとに対応した事例や、職員全員で意識をあわせて地域を見守るための取り組みについて、引き続き詳しくご紹介します。

記事執筆:ことのは舎
編集:株式会社CRAFT5



PAGE TOP